高圧含水鉱物の変形によって起こる地球マントル深部の地震波異方性(2024.10.21)
高温高圧下のD相の変形誘起結晶選択配向【研究のポイント】・地球のマントル深部の温度圧力で高圧含水鉱物D相の変形実験を行ないました。・D相の変形では底面((0001)面)に沿ったすべり変形が支配的であることが分かりました。・D相の変形によって生じる結晶選択配向がマントル深部の地震波
高温高圧下のD相の変形誘起結晶選択配向【研究のポイント】・地球のマントル深部の温度圧力で高圧含水鉱物D相の変形実験を行ないました。・D相の変形では底面((0001)面)に沿ったすべり変形が支配的であることが分かりました。・D相の変形によって生じる結晶選択配向がマントル深部の地震波
地球下部マントル鉱物の格子熱伝導率(κlat)は、地球深部のダイナミクスや熱的歴史を理解するうえで鍵となる物理量の一つです。愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター・鉱物物性理論グループに所属する私(出倉)は、土屋センター長とともに10年以上にわたりマントルのκlatの第一原理研究を推進しています。
アルミニウムに富む超含水相の弾性波速度測定により沈み込み帯の下に含水マントル領域が存在することを示唆【研究のポイント】・地球マントルの水運搬を担う鉱物である超含水相B(SuB)のアルミニウム含有相の高圧・高温条件下での弾性波速度測定を行った。・アルミニウムの含有によって、含水量に伴っ
沈み込み帯では海水と反応した海洋プレート内の名目上無水鉱物や含水鉱物によってマントル内部に水が輸送されます。そのため水を含む鉱物の安定領域や含水量を明らかにすることは、地球深部の水循環プロセスを理解する上で非常に重要です。地表を構成する地殻(大陸地殻・海洋地殻)に普遍的に含まれるSiO2鉱物は、地
現在の月は、中心に金属核があり、その上にカンラン石(Ol)や輝石(Px)などの鉱物からなるマントルが地殻下に広がる内部構造を持っていると考えられている(Wieczorek et al.,2006)。このような月の内部構造は、月探査で得られたサンプルや深部地震の記録の分析から推定されてきた(Webe
【研究のポイント】・高圧下における蛇紋石(アンチゴライト)の結晶構造を第一原理計算により決定した。・アンチゴライトは圧力が増加するにつれて組成・構造が変化することが示された。・沈み込みプレートによって運ばれる蛇紋石は、高圧下で徐々に脱水する可能性がある。【研究の概要】蛇紋石(アンチゴライト
地球型惑星のマントル対流とそれよって引き起こされるプレートテクトニクスは、マントル岩石の塑性変形によって支配されています。この変形は、鉱物の結晶格子中の欠陥(格子欠陥)のミクロな運動によって生じることが知られており、従って格子欠陥の圧力下での物理的性質は、地球のような惑星内部のダイナミクスに大きな
これまでの地震学的観測や地球化学的研究によって地球のマントルには大きな不均質性があることが知られています。たとえば、液相濃集性の元素に枯渇し、均質な組成をもつ中央海嶺玄武岩の組成は高度に分化した上部マントルの存在を示しています。一方で、液相濃集性の元素に富み、始原的な希ガスを多く含む海洋島玄武岩の
地球はかつてジャイアントインパクトによって溶融した深いマグマの海に覆われていたとされています。そのマグマの海の結晶化によって初期地球マントルの化学的成層構造が形成され、その影響が現在の地球にも残っている可能性が考えられます。その一例として、地球のコア-マントル境界直上に存在する地震波低速度異常領域
天王星のマントルの化学組成モデルは、太陽系の元素存在度をもとに水(H2O):メタン(CH4):アンモニア(NH3)=7:4:1の混合比になっていると推定されている(e.g., Bethkenhagen et al., 2017)。主要成分のひとつであるメタンは高温高圧下で分解し、2000-3000